「ひらがな」とは
「ひらがな」とは、日本語の表記に用いられる音節文字である。仮名の一種で、万葉仮名を起源として成立した。楷書ないし行書で表現される万葉仮名を、極度に草体化したものである。
鉛筆の持ち方
人間は「つまむ」ことで文明を築いた
生物の進化、発展のなかで人間(人類)だけが文明を作った。原因はいろいろ考えられるだろう。
脳が発達し言語を持ったこと。二本足で歩いたことなどがよく言われる。
私は人間がだけが文明を築くことができた根源的な原因は「手」をうまく使うこと。取り分け「指」の利用が重要なポイントであったような気がする。
人間の「手」を見ると「指」は「親指」だけが離れている。「親指」は他の指とちょっと違い、動かせる度合いが大きい。そして他の指にはない「ぐるぐる回す」「他の指と指の腹同士でくっつける」というようなことができる。
ふたつ目の「親指と他の指をくっつける」は他の動物にはできないことだそうだ。
人間に近いサルもたしかに「親指」は離れて人間と同じような構造の手をしているが、サルは人間のように「親指と他の指をくっつける」ことはできない。
この「親指と他の指をくっつける」機能のことを「拇指対立(ぼしたいりつ)」というのだそうだ。
「親指と他の指をくっつける」機能は具体的にはものを「つまむ」ということを可能にしている。
先に言ったように「親指と他の指をくっつける」機能は人間特有で、きわめて重要な機能であるために、医学の方でも患者の指を切断せねばならない時は親指だけはできるだけ切断しないように考えるそうだ。
その理由は、他の指はなったとしても日常生活にはあまりさしつかえないそうだが、親指がなくなった場合、他の4本が健全であってもこの拇指対立機能がなくなったことにより、日常生活に大変な支障を来たすことを医師たちは知っているからである。
人間は環境の変化、野生動物から保身や生活の糧である食料の収穫、保存のために道具を作ってきた。これを作るには脳の発達は欠かせないだが、「つまむ」動作が上手く出来るようになることによって細かい作業が出来るようになり、それがまた脳を刺激するという好循環のサイクルで進化してきたのだろう。サルというのは知能も高いらしい。だが、「つまむ」という行為はまったくできない。これを見るとサルはいくら頭が良くても道具を作ることはできないという予想が立つ。
また、この「つまむ」という機能が子どもたちに鉛筆を持たせるということにつながっている。
現在の子どもたちから社会人の鉛筆や筆記具の持ち方を見ると「親指」と「人差し指」の二本でつまんで持っていない人のなんと多いことか。「親指」は曲がらずのびたままで、人差し指の上に来ている。これでは人間が培ってきた文明の想像力は衰退するのでないかと心配になる。だから、子どもたちに文字を指導する私たちはまずは鉛筆の正しい持ち方を指導しなければならないのである。
「ひらがな」指導にあたって
現在の日本人にとって、「ひらがな」の使用頻度はどうでしょうか。
大きくないと言える人はいないと思います。
それほど重要なことでありながら、漢字に比べて、小学校での指導は軽んじられているように思うのですがどうでしょうか。
社会で生活する私たちも「ひらがな」の字形を学習することは無いに等しいでしょう。
また、現代社会の社会生活のなかで「ひらがな」をどんな字形で書こうとも容認する背景の中、子どもたちにもその影響は押し寄せて来るのです。
ですが、教育はそういうものではありません。例え、社会の流れよりは遅かったり、時として反対に流れることもあるでしょうが、将来の日本の社会を先進的な教育のある国として形成していこうと考えるなら基本的なことはきちんと教えておくべきだと私は思います。
基本あっての応用、発展、基本がなければ形無しになってしまいます。
先生方もぜひ子どもの正しく、整った、読みやすい文字を教えてください。
実 践
線の方向に注意する運筆
(A)向かい合う線の方向
◇上下に向かい合う線の方向(1)(横線)
上下の向き合う線というものは運筆の運動のよる必然性によってその方向が決定される
◇上下に向かい合う線の方向(2)(横線)
上下に向かい合う線の方向(1)よりは、やや程度が高く、一見気のつきにくい事項であるが、字形上大切な条件である。
◇左右に向かい合う線の方向(縦線)
「ひ」は特に留意すべき方向である。
(B)横線の方向
◇第一筆の長い横線の方向
ひらがなの第一筆に書く横線は、長い線、短い線ともに、「仰」線の方向に限る。
◇第一筆の短い横線の方向
ひらがなの第一筆に書く短い横線のうち、中心部に書くもの、やや左のほうに書くもの、右のほうに書くものなどに分けることができるが、とにかく短い横線も「仰」線の方向に限る
曲線の回り方に注意する運筆
ひらがなは、漢字楷書と比較して、円形的運動が多く、その連続はらせん状になって運筆される。
(A)左から右(横線)の方向に強い筆圧の運筆
らせん状の横線の動きに筆圧が多くかかる
(B)右上から左下(斜線)の方向に強い筆圧の運筆
右上から左下に動く線に筆圧が多くかかる
(C)上から下(縦線)の方向に強い筆圧の運筆
折り返しに注意する運筆
漢字でもひらかなでも「折り返し」が一番難しい。とくに深い折り返しは子どもは苦手。
だから、「折り返し」の指導こそが鉛筆使いでも、字形の上でも最も大切です。
(A)「浅く下へ」折り返す
(B)「深く下へ」折り返す
この折り返しは、重なる部分の多いことに気をつけて指導してください。
(C)「浅く上へ」折り返す
(D)「深く上へ」折り返す
点の方向には注意する運筆
「点」は第一筆に書く点、その文字の途中で書く点、最後に書く点があり、おのずからその方向が違います。
自然の運筆から生まれる点の方向に注意させると字形に影響をおよぼすことがわかります。
(A)第一筆に書く点の方向について
第一筆に書く点は点の方向と第二筆との間隔を多く離すことに特質がある。
(B)文字の途中に書く点の方向について
第一筆に書かない途中に書く点は、第一筆に書く点とは方向がことなる。
(C)最終筆に書く点の方向について((B)の途中に書く点と同じ要領である)
最終筆に書く点の方向は途中に書く点と同様である。
「むすび」に注意する運筆
「むすび」は三種類。
運筆の動きの違いから形が変わるのでそこを注意して教える。
(A)「小さいむすび」(A)について
小さくむすんでおくほうがよい。(平安時代の古典に共通性を見ることができるから)
(B)「小さいむすび」(B)(リボンむすび)について
「リボンさん」「おさかなさん」
(C)「大きいむすび」について
ひらがなの元字をみると、古典ではむすびの中は大きく広く書かれているものが大多数。
「さんかくむすび」「おむすびさん」
「ひらがな」の終筆
「ひらがな」の終筆について
本来の「ひらがな」には終筆においての「とめ」という行為はない
「はね」は「か」の第一筆以外にはない。それ以外は「はね」には見えるが次の点画への導線である。