これからの書写の指導で考えたいこと

文字を正しく整えて書く力を高める指導の基本について

一 書写指導の基本

 書写の指導はいわゆる個性的な文字を書くことでもなく芸術的表現活動でもない。生活に生きる言語文化としての書写力を身につけることである。このことは国語力の充実、徳性の涵養に深くかかわっている。

二 国語表記としての漢字仮名の特質

 我が国の国語表記としての漢字仮名は、単なる国語表記としての記号ではなく、文字自体が、日本人の生活、思想、情緒、感性、美意識によって、長年にわたってはぐくまれてきた伝統的言語文化である。

三 指導上大切にしたいこと

1 言語表現としての文字のもつ機能美(縦長の外形、造形的安定感)
   ⑴ 上から下へと縦書きを基本とすることから生まれた点画の特質、字形の美しさ(とめ、
    はね、はらい、点画の長短、感覚、細太、上下左右の組立てと構成のバランス、気脈)
   ⑵ 記録伝達の効果的表現(文字の大小、配置配列、用具の選択)

2   生活の中での書きやすさ
   ⑴ 正しく整えて読みやすく速く書ける姿勢、執筆と運筆
   ⑵ 活字と手書き文字との違いの理解

3 書き手の思い、読み手への配慮
     相互の心の伝え合い 相手に対する敬愛の念と誠意

(栁下昭夫)