書き初めの由来
日本の年中行事の一つで、新年になって初めて毛筆で字を書くことを言います。
同じような意味の言葉として、試毫(しごう)、試筆/始筆(しひつ)、筆始/筆始め(ふではじめ)などが使われます。また、同じ行為を意味する言葉として、初硯(はつすずり)や吉書始/吉書始め(きっしょはじめ)があります。
書き初めは、平安時代の宮中における「吉書の奏(きっしょのそう)」という年中行事が由来だと言われています。
「吉書の奏」とは、物事の改まった時に,日柄の良い日を選んで奏聞(中国では天子、日本では天皇に申し上げること。)する文書のことです。内容的には儀礼的で、政治がつつがなく進行していますのでご心配なくという慶賀を述べるものでした。
この朝廷での儀式を基に、武家である将軍が吉書に花文字印鑑を押す儀式を吉書始と言うようになりました。朝廷での儀式と武家では,双方の間には多かれ少かれ違いがありました。また、時代によっても違いが遭ったようです。
ですので、本来は行政手続きなのです。
さて、私たち庶民には江戸時代の寺子屋の発展から、吉書始めが庶民の間にも「おめでたい新年に書道(書写)をする」という行事となって広がったのです。
その理由は、この時代は幕府で要職に就くための試験科目は「よみかき」と「そろばん」だったことから、字が上手なことは大切なことだったのです。
新年の書き初めはいつ行うのが正しい?
書き初めは、「吉書の奏」の流れを組んでいますから、年が明けた吉日に最初に汲んだ井戸水(=若水:わかみず)を神前に供えたあと、その若水を使って墨をすって、恵方に向かって今年1年の抱負や目標を書くことが寺子屋では指導されました。
また、書道や茶道、三味線などのお稽古ごとは「1月2日から習い始めると上達する」と言われていて、この日を初稽古の日とする習い事は多いようです。
明治時代になり、学制が敷かれ義務教育で庶民の教育水準が向上して読み書きや書道が広がるにつれて書き初めも一般庶民の間で広がっていったのです。
現在では冬休み明けに書き初めをすることが学校行事3学期のスタートのようになっています。
書き初めをする意味
書き初めをする意味は前にも少し書きましたが
・書の上達を願う
新年早々に、神聖な若水を使って書くことで、神意にあやかり、字が上手になることを祈願します。
・一年の抱負を心新たにする
おめでたい言葉や詩歌、または今年一年の目標や抱負を書くことで、行動を新たにするという意味があります。
この二つが目的となると考えられます。
ですので、心を落ち付け、正しい姿勢で文字に新年から向かうことの精神性だと私は思います。
書き終わった書き初めは?
さて、心を込めた文字は神棚や玄関に貼り付けることで多くの人々に自分の目標を宣言することになります。
宣言ですので、 心が緩んだり、挫けそうなときには反省と活力を生むことでしょう。悲願が成就するまで、来年まで貼り付けておいても問題はありません。
ですが、一応、儀式では元旦においでになった年神様が滞在する期間といわれる「1月7日」(松の内という)までは飾っておきましょう。
そして、私の地方では「どんど焼き」といっている「左義長」と呼ばれるお祭りで、正月飾りなどとともに燃やします。このとき、炎が高く上がれば上がるほど字が上達すると言われています。
ちなみに私の地方ではこの左義長の火でみかんを焼いて食べると風邪をひかないという言い伝えがあります。これは信じるのもが救われる世界でしょう。
まとめ
現在の学校では冬休みの宿題として書き初めの課題が生徒たちに渡され、3学期の始めに学校で書き初めをすることが多いようです。
また、各種書写・書道・習字の団体では書き初めを公募展として募集しているところもあるようです。
(特)全日本書写書道教育連盟では「吉書展」として公募しています。
詳しくは下記をご覧ください。
本年の推奨課題
目標:心機一転 活躍:獅子奮迅 決断:初志貫徹 努力:粉骨砕身
家族:一家団欒 健康:無病息災 穏やか:泰然自若 真心:公明正大
うし もち うしどし お正月 初日の出 丑 丑年
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